【談話】政府の総合経済対策の閣議決定にあたって

立憲民主党 政務調査会長 重徳 和彦

 政府は本日、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を閣議決定した。

 我々が早期に補正予算を編成して対応することを求めてきた能登の復旧・復興対策については、わずかに盛り込まれたものの、「被災者生活再建支援金」の実質倍増、公費解体等の準半壊・一部損壊への対象拡大、「なりわい再建支援補助金」の拡充など、被災地が求める対策の多くがこぼれ落ちている。これは、被災現場のニーズに対する理解の不足と、長期化する避難生活へのきめ細かい配慮の欠如を物語っており、復旧・復興に対する本気度を疑われても仕方がない。能登の復興に与党も野党もない。引き続き、被災地の声を形にした立憲民主党の提言の実現を目指していく。

 経済対策について、政府はこれまで住民税非課税世帯のみを対象とした給付を繰り返しており、今回も同世帯に3万円の給付を実施するとのことだが、これでは低年収の現役世代(ワーキングプア層)をはじめ、税を納めながらも生活が苦しい層には支援が行き届かない。我々は、自治体が有する所得情報をもとに、より幅広い中低所得者層を対象として、所得に応じてきめ細かく「物価高手当」を給付することを提案しており、こちらの方が物価高対策として優れている。

 電気・ガス補助金の再開とガソリン補助金の延長も盛り込まれた。電気・ガス補助金は、衆院選が行われた10月の使用分までで一旦終了しており、今後寒さが厳しさを増す寒冷地の世帯への配慮を欠くなど、政策目的にまるで一貫性がない。そもそも、これらの補助金は、対象が限定されていないために、支出額の多い高所得者ほど負担軽減額が大きくなるという問題がある。また、元売り事業者等を通じた支援であるため、家計がその効果を実感しづらいという難点もある。したがって、我々が主張するように、中低所得者層・中小企業を対象に、直接的・集中的な給付を実施することを基本とすべきだ。 併せて、より根本的な対策として、再エネ・省エネへの大胆投資を実行することで、エネルギー価格の高騰に強い経済・社会構造を作り上げるべきである。

 また、いわゆる「年収の壁」問題について、所得税の「103万円の壁」については引き上げる方向性が確認されたが、年収130万円を超えた途端に約30万円の減収(ガケ)が生じ、収入が逆転するという意味で、より深刻な社会保険の「130万円の壁」については、従来の「年収の壁・支援強化パッケージ」の実行が掲げられるに留まった。この政府の施策は根本的な就労抑制対策になっておらず、我々が提案している、収入の減少を補填する「就労促進支援給付」の方が、効果が見込まれる。

 値上がりする学校給食費について、政府は「重点支援地方交付金」による支援を掲げているが、既に約3割の自治体が独自財源で無償化を実施しており、未実施の自治体からは、国の責任で全国一律に無償化することを求める声が強まっている。居住自治体により子どもの育ちを巡る環境に差がある現状は好ましくなく、どこに居住していようとも、子どもが健やかに成長できる社会を目指すべきだ。本格的には来年度当初予算からの実施を目指しながらも、今回の補正予算から、学校給食費を実質的に無償化するような手立てを講じることを強く求めたい。

 本対策の規模は、一般会計歳出で13.9兆円と見込まれており、これは昨年の13.2兆円を上回る水準となっている。従来政府が経済対策の規模の根拠としてきたGDPギャップは、直近で-0.6%、額にして約4兆円程度であり、過大な財政出動と言わざるを得ない。そもそも、この経済対策は補正予算により歳出の裏付けが行われることになるが、財政法第29条に定められる緊要性の要件を満たしていない項目も散見される。原資は国民の税金である。バラマキは厳に慎み、真に必要な対策に限定すべきだ。

 立憲民主党は、「熟議」と「公開」を旨とし、引き続き、先般策定した「能登復興・物価高克服のための緊急総合対策」を基に、より良い政策の実現に尽力していく。

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